藤田嗣治の銅版画刊行と、フランク・シャーマンの業績を顕彰するためのプロジェクト。

金屏風

フジタとの日々。金屏風

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flowersとシャーマン

シャーマンルームの内部は、フジタを意識したデザインがいろいろとほどこされました。シャーマンは木の床が嫌いだったので、自ら濃紺と白の大きな市松模様に塗りました。窓には濃紺のカーテンをつるしました。仕上がったのを見たフジタはすぐに気に入りましたが、ちょっとした注文もありました。
部屋の一隅に、料理用のストーブがあるのを見たフジタは「あの前に衝立(ついたて)を置かないとだめだな」と言いました。
鎌倉の骨董店で、フジタに勧められてシャーマンが買った大きな金屏風のことがフジタの念頭にあったのでしょう。
屏風を買う時、「金屏風は三点あり、ヒトラーとムソリーニと某日本の高官のために作られたものだ」と、フジタのまことしやかな説明がありました。これはシャーマンの古美術についての鑑識眼を鍛えるためのフジタのほら話でしたが、フジタはただシャーマンをからかって大損をさせるつもりはありませんでした。
シャーマンは、大きすぎて、扱うにも置くところにも困っていた代物でした。フジタは「あの屏風を作りなおしてあげよう」と言いました。
数日後、フジタからシャーマンに呼び出しがあり、アトリエに行ってみると、素晴らしい裸婦像が描かれていました。シャーマンはびっくりし、すぐに気に入って飛び上がらんばかりに絶賛しました。が、落ち着いてよく観ると何か少し物足りないとシャーマンは感じました。
シャーマンは恐る恐る、「どうでしょう、裸婦の周囲に植物や花を描き入れたら…」と申し出ました。

「いいよ、じゃあフランク、熱帯植物の葉っぱを探してきてくれないか」
季節は冬で、シャーマンは困りました。
「どこから熱帯植物を取ってくるのですか」

「新宿御苑ですよ」
新宿御苑には宮内庁の管理する温室植物園がありました。

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屏風絵の前の土門拳

シャーマンはフジタの頼みなら水の中にも飛び込むという気持ちで、管理人に無理を言い、葉を山のように手に入れました。
フジタはシャーマンが葉をどのようにして手に入れたかも聞かず、「5日ぐらいしたらまた来てくれる」と言いました。
約束の日にフジタのアトリエを訪ねると、二曲の屏風絵はみごとに出来上がっていました。あの「歴史的金屏風」はフジタの手ですっかり姿を変えていました。
「蝶番を取り付けたら左右両方の絵にサインしよう」
なぜ両方にサインしたのか、二つの絵に分けることもできるとい言う意味だったのか、今となってはわかりません。
シャーマンのオフィスに時々遊びに来ていた写真家の土門拳は、「なんて素晴らしい絵なんだ」といつも感嘆して、その屏風の前に座り込んで動きませんでした。
作品は現在、ポーラ美術館の所蔵となっています。

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