フジタとシャーマンの交遊はどのように始まったのですか?
フジタは「君はぼくの絵をわかってくれている」と、追従ではないシャーマンの言葉に心から満足をしました。そして、油彩の「猫」をシャーマンに差し上げたいと言いました。しかし、はじめシャーマンは丁重に断わりました。
「作品と友情のいずれかを選ぶとすると、私は迷うことなく友情を選びます。大方の芸術家との親交にはこうした二者択一がいつか訪れますが、私にとってフジタはなおさらのこと、友情でなければなりませんでした」(シャーマン談)
しかし、フジタは是が非でも作品を差し上げると言って聞きかず、これ以上気まずくなってはいけないという判断で、シャーマンはありがたく受け取ることにしました。
それが、「シャーマンコレクション」の第一号となった「猫」という作品であり、シャーマンとフジタの交遊のはじまりを記念する作品ともなりました。
この作品を原画にして、銅版画の「猫」が制作され、70年後にシャーマン生誕100年を記念するプロジェクトのひとつとして、銅版画刷師・鈴木雄次氏により刷られることになりました。
現在、原画である油彩画の「猫」は行方不明になっています。どなたか所在をご存知の方は、河村アートプロジェクトまでご一報いただければ幸いです。