藤田嗣治の銅版画刊行と、フランク・シャーマンの業績を顕彰するためのプロジェクト。

アイゼンハワー・ジャケット

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出会いはどんな様子だったのか?

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アイゼンハワジャケットのフジタ

GHQの人間として赴くのではなく、フジタを尊敬する一人のアメリカ人として訪問することを伝えるために、シャーマンは訪問の前に、洋画家・向井潤吉から紹介状をもらいました。
フジタは戸口で出迎えてくれました。その折のフジタの服装がシャーマンには強い印象的を与えました。丈がベルトのところまでしかない通称「アイゼンハワー・ジャケット」というアメリカ陸軍の軍服で、フジタ自身がミシンで縫ったものでした。
「実に奮っている」と、シャーマンはその格好を見て、吹き出しそうになりました。
アトリエに招じ入れられると、シャーマンは向井潤吉からの紹介状を礼儀正しく差し出しました。フジタは、「作品をご覧になりますか」と言って、まだ額装されていない作品をたくさん持ってきて、床の上一面に無造作に広げました。
多くが1930年代の中南米旅行期の作品で、どれも出来栄えは素晴らしく、輪郭線の周囲に薄い陰影の描法が使われていました。
「細い線と影。これが藤田さんのスタイルです、テクニックです」とシャーマンは興奮しました。

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