銅版画刷師の第一人者、鈴木雄次氏が丹精込めて刷り上げます。
刷りの技術には、ディテールだけでなく、線の生命そのものをよみがえらせる技が求められます。刷りを手がけた鈴木雄 次氏は、池田満寿夫、加納光於、野田弘志、ソル・ルウィットなど、東西の著名な美術家たちから大きな信頼を寄せられている第一人者です。その鈴木氏でも、フジタの線が出せるまでは数十枚の試行を重ねたといいます。それほど難度の高い銅版画原版だということです。精魂込めて刷り上げる作品は、一日数十枚しか完成させることができません。
「フジタの銅版画原版を手にした私は、柔らかく優しい日本の線があることを見出し、深い感動を受けました。ヨーロッパの 本格的な銅版画技術を日本の地で開花させるために30年以上研究してきた私に、このフジタの銅版画原版は、これから 自分が全身全霊をかけてやるべき仕事は何かを教えてくれました」(鈴木氏) ◎刷りによる原版破損を防ぐために、原版には特殊クロムメッキが施されています。